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ふるさと納税をしないほうがいいケース|仕組みや注意点を紹介


ふるさと納税に興味があっても、どのようなメリットがあるのかわからず始められない方は多いのではないでしょうか。

ふるさと納税では、特産物を楽しみながら税金の負担を軽くできたり、応援したい自治体に寄付できたりします。

しかし、所得税や住民税を納める必要のない人や、高い節税効果を期待している人はメリットを感じられない可能性があるので注意が必要です。

そこで今回は、ふるさと納税をしないほうがいいケースを紹介します。

ふるさと納税をするべきなのか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

ふるさと納税の仕組み

2024-9-20

ふるさと納税とは、自身で選んだ自治体への寄付額のうち2,000円を超える部分を所得税や住民税から控除できる制度です。

例えば、35,000円の寄付をしたときは、原則として33,000円が控除されます。

35,000円-2,000円=33,000円

また、ふるさと納税をすると、特産品などの返礼品が受け取れる場合があります。

ふるさと納税には、特産物を楽しみながら税額控除を受けられたり、応援したい自治体に寄付できたりするメリットがあります。

ふるさと納税をしないほうがいいケース

お得に感じるふるさと納税ですが、以下のようなケースではメリットを感じられない可能性があります。

  • 所得税や住民税を納める必要がない
  • 年収が少ない
  • 適用を受ける所得控除が多い
  • 高い節税効果を期待している
  • 手元にお金がない
  • 手続きをするのが面倒に感じる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

所得税や住民税を納める必要がない

所得税や住民税を支払う必要がない人は、ふるさと納税の税額控除が受けられません。

例えば、以下のような人はふるさと納税をしても税額控除されず、全額寄付したこととなるので注意しましょう。

  • 専業主婦(主夫)
  • 失業保険を受給している人
  • 赤字が発生している個人事業主

年収が少ない

ふるさと納税には、控除限度額というものがあります。

控除限度額は年収や家族構成などによって異なり、年収が少ないと以下のように限度額が少なくなります。

ふるさと納税をする人の給与収入 独身・共働き 共働き+子ども1人(高校生) 共働き+子ども2人(高校生と大学生) 夫婦(※)+子ども2人(高校生と大学生)
300万円 28,000円 19,000円 7,000円 0円
350万円 34,000円 26,000円 13,000円 5,000円
400万円 42,000円 33,000円 21,000円 12,000円
450万円 52,000円 41,000円 28,000円 20,000円
500万円 61,000円 49,000円 36,000円 28,000円
550万円 69,000円 60,000円 44,000円 35,000円
600万円 77,000円 69,000円 57,000円 43,000円

※ふるさと納税をする人の配偶者に収入がないケース

例えば、以下のようなケースでは控除限度額が0円となる可能性があります。

  • 給与収入が300万円で専業主婦の配偶者、大学生と高校生の子どもが1人ずついる
  • 65歳以上で収入が150万円以下の公的年金のみ など

控除限度額が0円の場合は、ふるさと納税をしても、控除を受けられず全額寄付することになります。

そのような状況にならないためにも、控除限度額を調べたうえでふるさと納税をするようにしましょう。

なお、限度額の目安やシミュレーションは、以下のサイトでチェックできます。

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html

適用を受ける所得控除が多い

ふるさと納税の控除限度額は収入だけでなく、配偶者控除といった他の控除の適用有無によっても異なります。

例えば、給与年収額が500万円の場合、控除限度額は扶養している配偶者がいるケースは49,000円、独身のケースは61,000円が目安となります。

配偶者がいることで控除限度額が下がるのは、配偶者控除が適用されることで独身の人より納税額が少なくなるためです。

加えて、以下のような人は所得控除が適用されることで、想定よりふるさと納税の控除額が少なくなる可能性があるので注意が必要です。

  • 生命保険や地震保険に加入している
  • 扶養家族が多い
  • 年間の医療費が多い
  • iDeCoを利用している など

ふるさと納税をするときは年収だけでなく、他の所得控除を踏まえたうえで、ふるさと納税でどれほどの控除が受けられるのかを確認するようにしましょう。

高い節税効果を期待している

ふるさと納税は、好きな自治体を選んで寄付することで、寄付金の2,000円を超えた部分が本来納めるべき所得税や住民税から控除される仕組みです。

好きな自治体を応援できたり、返礼品を受け取れたりするメリットはあるものの、支払う金額が減っているというわけではありません。

そのため、自治体への寄付や返礼品にあまり興味がなく、高い節税効果を求めている人はメリットを感じられない可能性があります。

手元にお金がない

ふるさと納税では、その場で控除を受けられるわけではなく、寄付金を自身で立て替える必要があります。

税金の前払いをする形であり、手元にお金がない人には負担が大きくなってしまう可能性があります。

手続きをするのが面倒に感じる

ふるさと納税による税額控除は、自動的に反映されるわけではありません。

控除を受けるには、確定申告をする、もしくはワンストップ特例制度の申請をする必要があります。

ワンストップ特例制度とは、寄付をした自治体に申請書類を提出することで確定申告が不要になる制度です。

ワンストップ特例制度は、寄付をするときに利用を希望し、申請書類と本人確認書類を送付することで適用が受けられます。

確定申告と比較して楽に申請できますが、人によっては手間に感じる可能性があります。

なお、寄付先の自治体が5団体を超える人や確定申告の対応が必要な人は、ワンストップ特例制度での対応ができません。

確定申告をする際にワンストップ特例制度を利用した寄付額を記入しなければ、ふるさと納税が無効になってしまうので注意しましょう。

ふるさと納税をしたほうがいいケース

2024-9-20

所得税や住民税を納付している人や、応援したい自治体や魅力に感じる返礼品がある人はふるさと納税をするのがおすすめです。

ここからは、ふるさと納税をしたほうがいいケースを見ていきましょう。

所得税や住民税を納付している

所得税や住民税を納付している人は、ふるさと納税を活用するのがおすすめです。

なかでも、年収が多い人や利用できる所得控除が少ない人は納税額が多くなる分、ふるさと納税の控除限度額が大きくなります。

より多くの返礼品や高価な返礼品を受け取れるのも嬉しいポイントです。

所得税や住民税を納付している人は、自分の控除限度額を確認したうえで、どのような返礼品が受け取れるのかを確認してみましょう。

応援したい自治体や魅力に感じる返礼品がある

ふるさと納税では、応援したい自治体に寄付できたり、魅力的な返礼品が受け取れたりします。

「思い入れのある自治体を応援したい」「普段は食べられない特産品を手にしたい」という人は、ふるさと納税のメリットを感じやすいでしょう。

トイレットペーパーやティッシュといった日用品を受け取れば、家計改善にもつなげられます。

確定申告をする人は申告書の記載漏れに注意する

2024-9-20

確定申告書に記載を忘れると、ふるさと納税の控除が適用されなくなってしまうので注意が必要です。

確定申告が必要になる以下のような人は、確定申告書への記載を忘れないようにしましょう。

  • 年収が2,000万円を超える
  • 給与所得、退職所得以外の所得金額が20万円を超える
  • 2ヶ所以上から給与を受け取っている
  • 個人事業主で事業所得や不動産所得などの合計所得が48万円以上
  • 1月1日~12月31日の間に6自治体以上に寄付をした
  • ワンストップ特例の申請書を提出できなかった
  • 医療費控除の適用を受けたい
  • 住宅ローン控除を受ける1年目 など

ふるさと納税の適用を受けるためにも、自身が確定申告の対象者になっているかを確認しておきましょう。

ふるさと納税は仕組みを押さえたうえで活用しよう

ふるさと納税には、特産物を楽しめれたり、応援したい自治体に寄付できたりするメリットがあります。

しかし、所得税や住民税を納める必要のない人がふるさと納税をすると、税額控除を受けられず、全額寄付することとなるので注意が必要です。

ふるさと納税をしたい人は、控除限度額を確認したうえで自分にメリットがあるのかを判断しましょう。

ふるさと納税をすることに不安がある人は、お気軽にご相談ください。

監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士

この記事を書いた人:花谷瑛奈
2級ファイナンシャル・プランニング技能士・マネーライター|SEO記事を中心に300記事以上の執筆を担当|得意分野:税金、社会保険、資産運用など|ていねいにリサーチして読みやすく、わかりやすい記事を執筆します。