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ふるさと納税に興味があるけれど「年末に申し込んでも間に合うのか」「いつまで申し込めるのかわからない」といった疑問をもっている方もいるのではないでしょうか。
ふるさと納税はいつでも申し込めるものの、寄付方法や時期によっては税金の控除が翌年度にずれてしまう場合があります。
そのようなことにならないためには、ふるさと納税の仕組みを押さえておくことが大切です。
この記事では、ふるさと納税を申し込むタイミングと控除時期の関係性や、申請期限を解説します。
ふるさと納税をするときの注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
ふるさと納税はいつでも申し込み可能
ふるさと納税には申込期限がないため、1年中好きなタイミングで申し込めます。
ふるさと納税は、好きな自治体に寄付をすることで、寄付額から自己負担額の2,000円を引いた金額がその年の所得税や翌年度の住民税から控除される制度です。
たとえば、ある自治体に1万円の寄付をすると、8,000円分の控除が受けられます。
ふるさと納税では、寄付先の自治体から感謝の意味を込めた「返礼品」が寄付者に贈られるのが一般的です。
なお、ふるさと納税は税金の前払い制度であるため、納める税金の合計額が減るわけではありません。
たとえば、納税額が20万円の人がふるさと納税で1万円の寄付をしたときは、自己負担の2,000円を差し引いた8,000円が控除され、19万2,000円の税金を納めることになります。
納税額(19万2,000円)と寄付額(10,000円)の合計が20万円2,000円となることから、本来の納税額が減っていないことがわかります。
なお、自己負担の2,000円以上の返礼品を受け取ることができれば、その差額分が実質的な節税となります。
税金控除を最短で受けるには年内に決済する必要がある
ふるさと納税は好きなタイミングで申し込めますが、寄付をした年の所得税や、翌年度の住民税の控除を受けるには、年内に寄付金の支払いを完了しなければなりません。
たとえば、2024年12月30日に申し込みをして、コンビニ払いで2025年1月4日に寄付金を支払うと、2025年に寄付したと見なされます。
この場合、2025年度の所得税と、2026年6月以降に支払う住民税から控除されることとなってしまいます。
控除時期を後ろ倒しにしたくない場合は、12月31日までに寄付金の支払いを完了させるようにしましょう。
支払方法ごとの決済完了日
寄付金の支払方法は、クレジットカード払いやスマートフォン決済、コンビニ払い、銀行振込といった複数の方法から選択できます。
決済完了日は、支払方法によって以下のように異なります。
支払方法 | 寄付金の決済完了日 |
クレジットカード払い | 支払った当日 |
スマートフォン決済 | 支払った当日 |
ペイジー払い | 自治体への送金完了日 |
コンビニ払い | コンビニで支払いをした日 |
銀行振込 | 自治体への入金完了日 |
現金書留 | 自治体が受領した日 |
年末に銀行振込や現金書留でふるさと納税をすると、年内に決済処理が完了しない可能性があります。
年末に寄付をするときは、決済処理が早いクレジットカード払いやスマートフォン決済を選ぶのがおすすめです。
選択できる支払方法は、ふるさと納税を申し込むサイトや寄付先によって異なるので、それぞれの方法を確認しておきましょう。
決済状況の確認方法
寄付金の支払いが完了しているかは、以下のいずれかの方法で確認できます。
- 決済完了メールを確認する
- ふるさと納税サイトのマイページを確認する
- 寄付先の自治体に問い合わせる
寄付金の支払方法によっては、決済完了メールが届かない場合があります。
メールが届かないときは、ふるさと納税を申し込んだサイトのマイページ内の寄付履歴から決済状況を確認してみましょう。
銀行振込や現金書留を選択した場合は、決済完了メールが届かなかったり、マイページに反映されるのが遅かったりするため、寄付先の自治体に問い合わせてみるのがおすすめです。
ふるさと納税の申告・申請期限
ふるさと納税の控除を受けるためには、ワンストップ特例制度の控除申請をしたり、確定申告をしたりする必要があります。
申請方法ごとの期限は、以下のとおりです。
税金控除の申請方法 | 申請期限 |
ワンストップ特例制度 | 寄付をした翌年の1月10日まで |
確定申告 | 寄付をした翌年の2月16日~3月15日 |
それぞれの概要を詳しく解説します。
ワンストップ特例制度を利用する場合
ワンストップ特例とは、確定申告をすることなく、ふるさと納税の控除を受けられる特例制度のことです。
寄付先が5団体以内の場合や、確定申告が不要な給与所得者などが利用できます。
ワンストップ特例制度を利用するときは、寄付をした翌年の1月10日までにオンラインまたは郵送で申請をしましょう。
寄付先の自治体に申請書と本人確認書類を送ることで、翌年の6月以降に支払う住民税から差し引かれます。
なお、同じ自治体に複数回寄付をした場合も1団体と見なしますが、寄付回数に応じて申請書を送る必要があります。
確定申告をする場合
確定申告とは、1年間の所得から納税額を計算して税務署に申告する手続きのことをいいます。
以下のいずれかに該当する人がふるさと納税の適用を受けるには、確定申告をする必要があります。
- 1月1日~12月31日の間に寄付した自治体が6団体以上
- 医療費控除の適用を受けたい
- 住宅ローン控除を受ける1年目
- 個人事業主で事業所得や不動産所得などの合計所得が48万円以上
- ワンストップ特例制度の申請書を提出できなかった
- 年収が2,000万円を超える
- 給与所得、退職所得以外の所得金額が20万円を超える
- 2ヶ所以上から給与を受け取っている など
確定申告をする際は、寄付先の自治体から届く「寄附金受領書」または特定事業者が発行する「寄附金控除に関する証明書」を添えて翌年の2月16日~3月15日までに申告しなければなりません。
特定事業者は、以下のサイトから確認できます。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kakutei/koujyo/kifukin/tokutei.htm
ふるさと納税の申告を忘れたときは、翌年の1月1日から5年以内に申告することで控除を受けられる可能性があります。
ふるさと納税をするときの注意点
ふるさと納税をするときは、以下の点に注意しましょう。
- 控除上限額を超える寄付をすると自己負担額が増える
- 納税者と寄付者が異なると控除が受けられない
- 自治体によって受付期間や振込期間が異なる
- 確定申告をするとワンストップ特例の申請が無効となる
それぞれ詳しく紹介します。
控除上限額を超える寄付をすると自己負担額が増える
ふるさと納税の控除額には、上限があります。
ふるさと納税の上限額は、年収や家族構成によって異なり、総務省の公式サイトやふるさと納税を取り扱っているサイトで確認できます。
上限を超えると、自己負担額が増えてしまうので、上限額を確認したうえで寄付するようにしましょう。
年収がわからないときは、前年の源泉徴収票に記載されている年収を目安にするのがおすすめです。
納税者と寄付者が異なると控除が受けられない
ふるさと納税の控除を受けるためには、納税者が自分名義で寄付しなければなりません。
たとえば、納税者とクレジットカードの名義人が一致していないときは、ふるさと納税の適用を受けられないので注意が必要です。
納税者がクレジットカードを持っていない場合は、コンビニ払いなど別の支払方法を選択しましょう。
自治体によって受付期間や振込期間が異なる
ふるさと納税の受付期限と振込期限は自治体によって異なるので注意が必要です。
なかには、12月31日より前に期限を設けている自治体もあります。
また、人気のある返礼品は早い時期になくなる可能性があるため、欲しい返礼品がある場合は早めに申し込みをしましょう。
確定申告をするとワンストップ特例の申請が無効となる
ワンストップ特例の申請を行ったあとに確定申告をすると、特例の申請が取り消されてしまうので注意が必要です。
そのため、医療費控除を受けたり、ほかの所得があったりするときは確定申告をしましょう。
ワンストップ特例の適用を受けている状況で確定申告をするときは、ふるさと納税をした金額を確定申告書の寄付金控除の欄に記載するようにしましょう。
ふるさと納税をしたあとは期日までに税金控除の申請をしよう
ふるさと納税には申込期限がないため、いつでも申し込めます。
ただし、年末年始のタイミングに寄付をすると、控除時期が翌年まで後ろ倒しになってしまう可能性があります。
また、控除申請には期日が設けられているので、忘れないように手続きしましょう。
ふるさと納税をしようか迷っている方や、申請方法がわからない方は、お気軽にご相談ください。
監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士