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教育資金に備えるには学資保険とNISAのどっちがいい?メリット・デメリットを紹介


子どもの教育資金を備えるには、学資保険とNISAのどちらを活用すべきか迷っている方は多いのではないでしょうか。

学資保険とNISAには全く異なる特徴があるため、どちらを選ぶべきかはどのように教育資金を準備していきたいのかによって左右されます。

無理なく教育資金を準備するためにも、両方の特徴や違いを押さえておくことが大切です。

そこで今回は、学資保険とNISAのメリット・デメリットを紹介します。

どのような方法で教育資金を備えていくか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

子ども1人にかかる教育資金の目安

文部科学省の「令和3年度子供の学習費調査」では、1年間で子ども1人にかかる学校種別の学習費総額は以下のように公表されています。

学校種別 1年間の学習費総額
公立幼稚園 165,126円
私立幼稚園 308,909円
公立小学校 352,566円
私立小学校 1,666,949円
公立中学校 538,799円
私立中学校 1,436,353円
公立高等学校(全日制) 512,971円
私立高等学校(全日制) 1,054,444円

参考:令和3年度子供の学習費調査

国立私立大学の入学料・授業料は、以下のようなデータとなっています(令和3年度)。

学校種別 入学料 授業料
国立大学 282,000円 535,800円/年
公立大学 391,305円 536,363円/年
私立大学 245,951円 930,943円/年

参考:国公私立大学の授業料等の推移

すべて公立学校へ進学したとしても、大学を卒業するまでに子ども1人あたり800万円ほどかかることがわかります。

なかでも、大学進学には大きな金額が必要となり、国立大学でも4年間で計240万円前後かかります。

私立大学への進学も視野に入れて、子どもが18歳になるまでに400万~500万円ほどの資金を用意しておくのが理想です。

学資保険のメリット

学資保険とは、子どもの教育資金の準備を目的とした貯蓄型保険です。

基本的に保護者が契約者となり、子どもの入学や進学にあわせて教育資金・満期保険金を受け取れます。

学資保険には、以下のようなメリットがあります。

  • 資金計画を立てやすい
  • 万が一のときに保険料払込が免除される
  • 生命保険料控除が受けられる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

資金計画を立てやすい

学資保険は毎月の保険料や払込期間、教育資金の受け取れるタイミングが決まっているため、資金計画を立てやすい傾向があります。

なかには、小学校から大学のそれぞれの入学時に受け取れる学資保険もあります。

進学タイミングを逆算して計画的に資金を準備するのが難しい場合は、学資保険を活用してみるのがよいでしょう。

万が一のときに保険料払込が免除される

学資保険には、契約者である保護者が死亡もしくは一定以上の高度障害状態になった場合に、その後の保険料の払い込みが免除される特約があります。

仮に保険料の払い込みが免除になっても、子どもが学資保険の受取時期に設定されている年齢になれば、予定通りの金額を受け取れます。

保護者が亡くなったり、高度障害状態になって働けなくなったりした場合でも家計に負担をかけずに教育資金を準備できるのが魅力です。

生命保険料控除が受けられる

学資保険の保険料は、生命保険料控除の対象です。

生命保険料控除では、保険料に応じて所得税と住民税が減税されます。

そのため、所得税と住民税の節税効果を得ながら、教育資金を備えられます。

生命保険料控除の節税額は所得によって異なるので、事前にシミュレーションをしておくことをおすすめします。

なお、生命保険料控除を受けるには、会社員などの給与所得者の場合に年末調整、給与所得者以外の場合に確定申告での手続きが必要となるので忘れないようにしましょう。

学資保険のデメリット

学資保険は、保険金の受取時期が限られていたり、インフレによって資産価値が下がったりするデメリットがあります。

ここでは、学資保険のデメリットを紹介します。

保険金の受取時期が限られている

学資保険では、教育資金や満期保険金の受取時期が事前に決まっています。

途中で解約した場合に解約返戻金を受け取れることもありますが、それまでに払い込んだ保険料の総額を下回るのが一般的です。

そのため、突然まとまったお金が必要になったときでも、解約すべきかは慎重に検討する必要があります。

すぐには解約しにくいので、ほかの用途に使いにくくなるでしょう。

インフレによって資産価値が下がる可能性がある

インフレは物価が上昇し、お金の価値が低下することです。

インフレが起こると、100円で購入できていたものに対して150円、200円とより高い金額を支払うこととなります。

学資保険は将来の受取金額が決まっていますが、このまま物価が上昇し続ければ、受け取れる学資金や満期保険金の価値が想定より低くなってしまいます。

そのため、教育資金を準備するときは学資保険だけでなく、インフレに強い金融資産と併用して貯めていくのがよいでしょう。

NISAのメリット

NISAとは、株式や投資信託の運用益が非課税になる国の制度です。

NISAを活用して教育資金を準備するメリットには、以下のようなものがあります。

  • 好きなタイミングで現金化しやすい
  • 積立金額を変更できる
  • 運用益が非課税になる

一つずつ詳しく紹介します。

好きなタイミングで現金化しやすい

NISAで保有している株式や投資信託は、基本的にいつでも売却して現金化できます。

そのため、子どもの入学や進学のタイミングに限らず、必要になったときに売却して資金を準備しやすいメリットがあります。

例えば「習い事や教材で出費が増えたときに現金化する」のように柔軟な使い方ができるでしょう。

積立金額を変更できる

学資保険では、あらかじめ保険料が決まっていたり、保険料が支払えなくなったときの対応が限られていたりします。

一方、NISAを利用した積立投資では、積立金額を柔軟に変更できます。

例えば、家計に余裕があるときは積立金額を増やしたり、出費が多いときは減額したりすることが可能です。

なお、NISAでは年間で360万円(つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円)の上限枠が設けられています。

積立金額を変更するときや、一括での買い付けをするときは、上限枠を超えないようにすることが大切です。

積立金額の設定単位や上限額は金融機関によって異なるので、事前にホームページなどで確認しておきましょう。

運用益が非課税になる

株式や投資信託で得た利益には、原則として20.315%の税金がかかりますが、NISAを利用すれば運用益が非課税になります。

例えば、50万円の運用益が発生した場合、本来であれば約10万円(50万円×20.315%)の税金が課せられますが、NISAであれば非課税で運用できます

一方、学資保険で受け取れる学資金や満期保険金は、契約内容によって以下のいずれかの税金が発生する可能性があります。

  • 所得税・住民税
  • 相続税
  • 贈与税

教育資金を貯めるためにNISAと学資保険を比較するときは、税金まで考慮する必要があります。

NISAのデメリット

株式や債券などに投資をするNISAには、価格変動による元本割れのリスクがあったり、教育資金を計画的に準備するのが難しかったりするデメリットがあります。

ここからは、NISAのデメリットを紹介します。

価格変動による元本割れのリスクがある

NISAで運用する株式や投資信託などの投資商品には、元本割れのリスクがあります。

保有している株式の価値が下がると、当初投資した元本を下回ることがあるので注意が必要です。

ただ、投資信託では、値動きの特徴が異なる複数の資産や地域に分散して投資ができることで元本割れのリスクを抑えやすいとされています。

また、一定額の投資商品を定期的に購入する積立投資をしたり、長期にわたって金融資産を保有したりすることでリスクを軽減するのもおすすめです。

計画的に教育資金を準備するのが難しい

株式や投資信託は、一定の利回りが補償されている商品ではないため、教育資金を計画的に準備するのが難しい傾向があります。

教育資金として使いたいタイミングの相場が悪いときは、想定していた金額まで資産が増えていないことも考えられるでしょう。

また、長期投資を前提としている投資信託を購入している場合は、短期で売却すると元本割れをするリスクが高まります。

NISAを使って教育資金を準備する際は、長期的な目線をもって、どの投資商品を選ぶか、毎月どのくらいの金額を投資するかを検討しましょう。

教育資金に備えるには学資保険とNISAのどっちがおすすめ?

ここでは、学資保険とNISAのどちらか一方に絞って教育資産に備えたいという人向けに、それぞれの向いている人を紹介します。

学資保険が向いている人

学資保険が向いているのは、以下のような人です。

  • 計画的に教育資金を貯める自信がない
  • 投資に苦手意識がある
  • 元本割れのリスクを抑えたい
  • 万が一のときに備えたい

学資保険を選ぶ場合は、教育資金を受け取れるタイミングや金額、返礼率(支払った保険料に対して将来受け取れる金額の割合)をチェックしたうえで家庭に合った商品を見つけましょう。

NISAが向いている人

NISAを活用した教育資金の準備が向いている人は、以下の通りです。

  • 取り崩しのタイミングを自由に選びたい
  • 家計にあわせて毎月の掛金を調整したい
  • インフレリスクに備えたい
  • 価格変動リスクへの理解がある

NISAで資産形成をする際は、リスクを抑えるためにも、毎月決まったタイミングで一定額を積み立てたり、長期にわたって運用したりすることをおすすめします。

学資保険とNISAを併用するのもおすすめ

2024-11-12

学資保険とNISAには異なったメリットがあり、それぞれの弱点をカバーし合える商品といえます。

学資保険を利用して計画的に教育資金を準備しながら、NISAで柔軟に使える資金を蓄えるのも手段の一つです。

家計に余裕がある場合は、学資保険とNISAの併用を検討してみましょう。

学資保険・NISAの特徴を押さえて家庭に合った方法で教育資金に備えよう

学資保険とNISAには、それぞれ異なったメリット・デメリットがあります。

学資保険では、計画的に教育資金を準備できる一方で、インフレによって資産価値が下がる可能性があります。

NISAは、好きなタイミングで現金化できたり、積立金額を柔軟に変更できたりする反面、価格変動による元本割れリスクがある点に注意が必要です。

家計に余裕がある場合は、学資保険とNISAを併用することも視野に入れてみましょう。

学資保険とNISAのどちらを選ぶべきか迷っている人は、お気軽にご相談ください。

監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士

この記事を書いた人:花谷瑛奈
2級ファイナンシャル・プランニング技能士・マネーライター|SEO記事を中心に300記事以上の執筆を担当|得意分野:税金、社会保険、資産運用など|ていねいにリサーチして読みやすく、わかりやすい記事を執筆します。